熟れ頃食べ頃…
最近、おいしいものを食べているだろうか?
よほどのものでもない限り、大抵の食べ物は季節を問わず手に入る昨今では、「旬がなくなった」という嘆きの言葉が良く聞かれる。今ではすっかり陳腐になってしまった文句だけれど、確かに真冬にスイカが出てきても、さほど驚かない(もちろん、ちょっとは驚くに違いないが)ようになってきているから、「この食べ物はこの時期に食べられる」という感覚はかなり薄れてきているのだろう。スイカやらマツタケやら筍くらいならば問題ないけれど、ホウレンソウだのインゲンだのニンジンとなってくると、旬がいつなのか、自分自身ちょっと怪しくなる。ちなみにホウレンソウとニンジンは冬。インゲンは夏が旬だそうだ(実はホウレンソウは家庭菜園で冬に収穫していたのでなんとなく知っていた)。正直言うとこれらの野菜が旬の時期と旬じゃない時期でどれだけ味の差があるのか、俺はよくわからないけれど、イチゴなんかはクリスマスの時期の馬鹿高いものより、春の安いものの方が何倍もおいしいから、旬のものがやはり良いのだろう。
旬と並んで、食材の味に関わるのが、熟れ具合だ。熟れ具合と聞いて、俺が一番最初に思い浮かべるのはバナナ。青いうちに採って、船の中で黄色くなるバナナと、熟してから収穫して、アジアンリゾートの朝食に盛られるバナナでは味がまったく違う。現地で食べるバナナは、クリームのように濃厚でとろけるような舌触り。香りも一段と強く甘く、それだけで一つのデザートだ。かつては果物の王様として日本を席巻した(らしい。生まれてないから)バナナも今じゃすっかりたたき売られているけれど、本物のバナナを食べれば、バナナの風味の素晴らしさを再認識するに違いない。現に、自分の中では、プーケット旅行以来、バナナの格付けがかなり上がった。
熟れた本物のバナナの味は非常に強烈な印象を俺に与えたわけだが、最近、それに匹敵するくらい強烈な印象を受けた食べ物があった。それはレモンである。
親戚が静岡にある畑でレモンを作っている…というかレモンの木があって、勝手になるので、それをもらって、お決まりのレモネードを作った。いつもだと砂糖なり蜂蜜なりで甘みをつけて飲むんだけど、ちょっと体重が気になる今日この頃な上に、歳をとるたびに怠惰になっていくためか、砂糖を準備するのが面倒だったので(そもそもその怠惰癖が体重にひびく気はするけれど)、レモン果汁を水で割るだけで飲むことにした。するとなんと、甘いのである…嘘です。すいません。レモンはレモンなんで最後まで酸っぱいです。
でも、酸っぱさが違うのだ。スーパーで買う輝くばかりのレモンの酸っぱさは、思わず身を震わせてしまうような刺激的な酸っぱさだけど、熟したレモンの酸っぱさは、酸っぱいには変わりなくても、非常にマイルドで、酸味のもつ爽快感を堪能するだけの余裕のある味なのである。別に品種が違うわけでもなく、違うのは、十分熟してから採った(それまで放って置かれたという話もあるが)かどうかというだけだ。酸っぱいだけで他に大して味があるわけでもないレモンでも、熟したものとそうではないもので、こんなに違いがあるんだと知って、久しぶりに驚いた。何でも熟れ頃が食べ頃なんだね。
ちなみに、熟れ頃食べ頃というと続く言葉はやっぱり「お歳頃」。最近、やたら周りが男女問わず結婚しだしたのは「熟れ頃」ってわけなんだろうか? …やばいなぁ、早くしないと薹(とう)が立っちゃうかなぁ。 (-o-)
レモンを絞ってレモネードじゃあまりに簡単なんで、レモンを使った一品をご紹介。これはかつて青山の「To The Herbs」で食べたピザをヒントにして作ったもの。レモンとチーズとジャガイモが意外に合うさっぱりした温パスタ。
パスタ:100g/タマネギ:1/4個/ジャガイモ:1/2個/レモン汁:1/2個分/豚ロース(ベーコンなどでも可):ちょっと/ニンニク:1片/白ワイン:1/4カップ/塩/コショウ/油/ローズマリー(あれば)